facebook line x mail

春の陽気が最適!? 「こねない放置パン」の作り方

top

2025/04/16 05:10 ウェザーニュース

日中の気温が20~25℃になる今頃は、乳酸菌、酵母などの活動が活発になるちょうど良い時季にあたるそうです。発酵食コーディネーターで料理研究家の加藤なぎささんは、今の時季の気温や陽ざしを利用すると上手にパンが作れますよ、と言います。

そこで今の時季の気候を生かした、こねずに放置しておいてできる「こねない放置パン」の作り方を教えていただきました。

30℃程度がイースト菌の発酵に最適

発酵にかかわる酵母菌や乳酸菌、イースト菌はある程度温度が高くならないとうまく活動できないといいます。

「糠漬けが冬はなかなか漬からないのは、乳酸菌の活動が鈍くなるためです。イースト菌は温度が30~40℃ぐらいで、ある程度の湿度があると活動が活発になります。50℃以上になると死滅してしまうので、注意が必要です。

今の時季の気温は日中が20~25℃前後であり、湿度もそれほど低くありません。そこで晴れた日に、陽ざしのある場所に密封した容器を出しておくと、容器の中が大体30℃前後になって、パン生地がうまく発酵して膨らんでくれます」(加藤さん)

こねないでパンが作れる?

パンはこねるのが面倒で、粉だらけになる、という声をよく聞きます。

「パンを作るとき、こねる作業が必要になるのは、小麦粉のグルテンを引き出すためですが、小麦粉は水分と混ぜてある程度の時間を置いておくと、こねなくてもグルテンが引き出されます。

この性質を利用することで、こねずに放置してパンを作るのです。作業は材料を混ぜたら発酵→ガス抜きを何度か繰り返して、あとは成形して焼くだけです」(加藤さん)

「こねない放置パン」の作り方

box2
パンを作るうえで「手こね」が必要なのは、小麦粉のグルテンを引き出してパンの焼き上がりをしっとりふっくらさせるためです。

この放置パンはグルテンの引き出しを「こねる」のではなく、イーストと時間にやってもらいます。手を使うのは、材料を「混ぜる」時と「パンチしてガスを抜く」「成形する」時だけです。

しかも時間調整が効きます。今回は2回発酵させ、3回目で焼いていますが、発酵は3回でも4回でもOK。またもっと焼く時間を先延ばしにしたい場合は、容器ごと冷蔵庫に入れれば発酵を遅くすることができます。

【材料】(握りこぶし大のパン4個分)
・強力粉:300g
・水:200ml
・塩:小さじ2/3
・砂糖:小さじ1
・ドライイースト:小さじ2/3(多めの方が失敗は少ない)

【作り方】
(1)
大きめのふた付きの、できれば半透明の保存容器(食パンの保存用など)に強力粉、塩、砂糖、イーストを入れる。塩を入れる時、直接イーストに触れないように注意。

(2)
1に水を入れ、手で混ぜる。最初は手についてくるが、混ぜているうちに生地がまとまって手につかなくなる。この状態でまるめる。

(3)
容器にふたをして、陽当たりのいいところに放置する。

(4)
2倍ぐらいに膨らんだら、ふたを開けて手でグーパンチをしてガスを抜き、陽当たりに放置。

(5)
再び2倍ぐらいに膨らんだら容器から出し、ガスを抜いてから4つに切り分けてまるめ、オーブン皿にのせて放置。

(6)
2倍ぐらいに膨らんだらオーブンに入れて焼いて出来上がり。210℃で15分焼くとふんわりしてきつね色、18分焼くとセミハードのフランスパン風になる。

膨らみ具合はその時の気温や湿度に影響されますが、自然の恵みで膨らんだパンは、どこかやさしい味がします。

桜の季節も後半に入り、次第に朝晩の寒さも和らいできました。春の陽気に誘われて、こねないパン作りを楽しんでみませんか。
» GPS検索 ピンポイント天気予報
» お天気ニュース記事一覧をアプリで見る