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週刊地震情報 2025.3.30
ミャンマーでM7.7の大地震 遠く離れたタイ・バンコクも被害

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2025/03/30 10:14 ウェザーニュース

この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べると若干少ない水準です。東日本でやや多く、北海道周辺も地震が目立ちました。震度3以上の地震は3回発生しています。(3月24日〜30日10時の集計)

国内:鹿児島・大隅半島東方沖でM4.6

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大隅半島東方沖の地震
29日(土)4時45分頃、大隅半島東方沖を震源とするマグニチュード4.6、深さ約30kmと推定される地震が発生しました。この地震で鹿児島県鹿屋市、錦江町で最大震度3の揺れを観測しています。

大隅半島東方沖を震源とする地震で震度3以上を観測するのは昨年4月以来11か月ぶりです。メカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。

この領域はフィリピン海プレートの沈み込みにより地震が頻発していて、昨年4月にはマグニチュード5.1、2022年10月にはマグニチュード5.9でともに最大震度5弱の揺れを観測しました。

マグニチュード6クラスの地震も何度か発生していて、強めの地震が起きやすいエリアです。

世界:ミャンマーでM7.7 大都市近くで被害甚大

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は5回発生しています。最も大きな地震はミャンマーで発生したマグニチュード7.7です。マグニチュード7以上の地震は今年3回目になります。

日本時間の28日(金)午後にミャンマーの内陸部を震源とするマグニチュード7.7、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

広い範囲で強い揺れに見舞われ、最も強い所では改正メルカリ震度階級でIX(厳密には比較できないものの、気象庁の震度階級では震度6弱〜6強に相当)に達しました。

南北1000km以上の長い断層の活動か

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ミャンマーの中央部には南北1000kmにもわたる「サガイン断層」が伸びています。今回の地震はその発生場所やメカニズムから、この断層の一部が活動した可能性が高く、少なくとも200kmの長さで破壊が起こったとみられます。2024年1月の能登半島地震では100〜150kmと推定されていますので、それを大きく上回る規模です。

サガイン断層はインドプレートとユーラシアプレートの動きにより形成されていて、非常に活動が活発な断層です。1991年には今回よりも北の領域でマグニチュード7.0、1946年にはマグニチュード7.6、1912年にはマグニチュード7.9など度々大きな地震が発生しています。

今回は200km以上の長さで断層が動いたと解析されていて、その分だけ強い揺れの領域が広範囲に及びました。震央に近いミャンマー第二の都市マンダレーや、首都ネピドーなどで改正メルカリ震度階級VIII以上の揺れとなっています。

遠く離れたタイ・バンコクでも大きな被害

今回の地震では震央から1000kmほども離れたタイのバンコクでもビルの倒壊などの大きな被害が発生しました。長周期地震動による影響と考えられます。
» 関連記事 タイ・バンコクは「長周期地震動」で被害拡大か

長周期地震動は周期が2秒以上の揺れで、遠くまで伝わりやすく高層建築物に影響を与えやすいのが特徴です。さらにバンコクはデルタ地帯のため、地盤が悪かったことも被害を拡大につながったとの指摘もあります。

すでに数千人に及ぶ人的被害が伝えられていますが、全貌は明らかになっておらず、どの程度の被害になるかはわからない状況です。


出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。