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100年後の桜開花予想
温暖化はお花見にも影響、東京でも桜が咲かなくなる?

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2025/03/27 16:00 ウェザーニュース

今年もお花見シーズンが到来しようとしています。昨年は平年より遅い開花となりましたが、今年は概ね平年並みです。

桜の開花には真冬から春にかけての気温が大きく関係しています。もし地球温暖化によって気温が今よりも高くなった場合、桜の開花は早くなるのでしょうか。ウェザーニュースでは、最新の気候予測モデルと気象庁が観測している「標本木」の開花データ、さらにウェザーニュースアプリのユーザーの皆さんから報告いただいている開花データをもとにして100年後の2125年までの桜(ソメイヨシノ)の開花予想を作成しました。

桜の開花は早まっている?

ウェザーニュースアプリの利用者に、「桜の開花時期に変化を感じますか?」というアンケート調査をしたところ、全体の6割以上が「早くなっていると感じる」と回答しました。

東京を例として1980〜2010年の平均の開花日とそれ以降の毎年の開花日を比較してみると、15年間のうちで平年の開花日より早い開花となったのは12回でした。実際に開花が早まっている傾向があることがわかります。

開花は北日本で早く、西〜東日本で遅くなる

ではこのままだと、桜の開花時期はどのように変化するのかを見てみましょう。

下の図は、現在の平年日を元にした桜開花前線と、ウェザーニュースが算出した2096年から2125年までの開花予想日の平均を元に作成した桜開花前線を比較したものです。
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桜の開花日の変化
桜の開花は、西日本から東日本の太平洋側から始まり、徐々に北へと進んでいきます。

100年後の2125年には東日本の内陸部や東北、北海道で開花が早まります。仙台の開花平年日は4月8日ですが、調査結果によると2125年には3月25日頃となる予想です。

一方で関東南部や西日本は早くならずにむしろ遅くなるところもあります。開花前線の順序が変わり、「桜の開花前線は北上していく」という現代の常識とは異なる結果です。

実は眠っていた桜の花芽が生長を始めるには春の暖かさだけではなく冬の寒さが必要です。冬の寒さによって花芽が目覚めることを「休眠打破」と言いますが、地球の気温が上がることによって、この休眠打破のために必要な冬の寒さが得られなくなり、東日本や西日本では開花時期が遅くなると考えられます。冬の暖かさは、かえって桜の開花を遅らせる要因になるのです。

温暖化が加速するとお花見ができない年も?

休眠打破が行われないと開花が遅れるだけでなく、満開にならなかったり、少しも開花しない可能性があります。

実際に温暖化が進行して気温が上昇した場合、どのくらいの地域で桜が咲かなくなってしまうかを見てみましょう。
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2125年の桜の開花予想
上の図は、それぞれ地球温暖化の進行が抑えられた場合と進行してしまった場合の開花日の予想と、桜が開花しない年数を表したものです。

地球温暖化が進行してしまった場合、関東南部や東海、西日本各地ではソメイヨシノが咲かなくなる年がある予想となりました。

静岡、下関、高知、長崎、宮崎、鹿児島では、2096年〜2125年の30年間のうち桜が咲かない年数が20年以上あるとみられ、東京でも30年間のうち10年以上は桜が咲かない予想です。お花見をする機会が失われてしまうことも懸念されます。

未来へ桜を残すために

近年の桜の開花や満開の早まりを通じて、気候変動を身近に感じている方も多いかもしれません。古くから春の風物詩として親しまれてきた桜のある風景は、まさに未来に残したいものの一つではないでしょうか。

ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきたいと考えています。
» 今年の桜開花予想・見頃情報
» 特集 ウェザーニュースと考える地球の未来

参考資料:「わが国のサクラ(ソメイヨシノ)の開花に対する地球温暖化の影響」(丸岡知浩・伊藤久徳、2009年)、気象庁HP
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
らーむさん